Yellow Roof 's Museum
黄色い屋根の博物館
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ウイキョウ (フェンネル) セリ目セリ科 Foeniculum vulgare

ウイキョウの蕾
ウイキョウの蕾 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/06/23
動植物などの写真や動画を撮って4年でもうすぐ6万点ほどになるが、ウイキョウは初めて見た。原産地は地中海沿岸だが、平安時代から薬用として移入されている。日当たりが良く乾燥気味の土壌では野生化しているところがあるらしい。

ウイキョウのアカスジカメムシ
ウイキョウのアカスジカメムシ (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/06/23
ウイキョウは日本では薬用として育てられてきたが、海外ではフェンネルの名でアニスに似た甘い香りのハーブとして植えられてきた。

ウイキョウのアオクサカメムシの幼虫
ウイキョウのアオクサカメムシの幼虫 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/06/23
アオクサカメムシの終齢(5齢)幼虫らしく、ほぼ成虫の体型と変わらない。背中の上部に三角形の翅芽があり、これが成虫の緑色の翅になる。

ウイキョウのアオクサカメムシの幼虫
ウイキョウのアオクサカメムシの幼虫 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/06/23
アオクサカメムシは、半世紀前の横浜市南区では最もよく見かけるカメムシの一つだった。クズの葉にはマルカメムシが、スギやヒノキ、クワ、ウメやカキなどの果樹にはチャバネアオカメムシが、そしてトマトやナス、ピーマンなどナス科やマメ科にはアオクサカメムシが群がっていた。

ウイキョウの蕾
ウイキョウの蕾 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/06/23
一つの鞘(葉鞘)の開口部からは、右に分かれて蕾の状態の花序が伸びており、上へと伸びる茎があり、また鞘がある。その先から何段階にも細かく裂けた糸のような羽状複葉が出ている。地中海性気候の乾燥や陽射しから身を守るための厚い鞘であり、蒸散を防ぐための細い葉である。

ウイキョウ
ウイキョウ (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/06/23
ウイキョウの葉を指先でこすると、若い葉は柑橘系の匂いがするが、育った葉はスッキリした甘みのあるカレーのスパイスやリキュールのような香りがする。ハーブや薬草のみならず、根元がタマネギ状に肥大する余すところなく食べられるフィノッキオという品種もある。

ウイキョウのアカスジカメムシ
ウイキョウのアカスジカメムシ (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/06/23
カメムシのフェロモンは、ほぼ食草が濃縮された臭いである。鳥やカマキリなどを臭いで驚かせる一瞬の効果はあるかもしれないが、毒はない。むしろ、仲間への危険や警戒を報せる信号(アラームフェロモン)で、察知した周囲の仲間は一斉にボロボロと地面に落ちて逃げていく。

ウイキョウのアオクサカメムシの幼虫
ウイキョウのアオクサカメムシの幼虫 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/06/23
アオクサカメムシは主にマメ科の果実につくが、幼虫の時期はセリ科の柔らかく細い茎や蕾の汁も吸う。ウイキョウの細く密生する葉が隠れ蓑にもなるのだろう。

ウイキョウのアカスジカメムシ
ウイキョウのアカスジカメムシ (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/06/24
果樹に付くカメムシやウイキョウのアカスジカメムシの警戒フェロモンの臭いは、人間にとってはいい香りということにもなる。しかし、天敵にとっては強い化学物質の刺激臭である。元々、果物のリモネンなどの香り成分は防御のために発達したもので、人は食べた経験があるから心地よい香りと受け取るだけのことである。

ウイキョウのアカスジカメムシ
ウイキョウのアカスジカメムシ (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/06/24
調理前の野菜の臭い成分を青臭く感じるか美味しそうと感じるかは、場合によって異なる。同じ匂いでも、経験や対象との距離によって違う印象になる。日頃からそうした感覚や好き嫌いといった価値観で生物を捉えていれば、色眼鏡の曇りには気づけない。ただ、生物の接写などに目を奪われると、束の間、剥がれることもある。

ウイキョウのアカスジカメムシ
ウイキョウのアカスジカメムシ (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/06/24
一歩近づけばアカスジカメムシの他に、右の蕾の根元に有翅のアブラムシもいる。尻の先に2つの突起(角管)がある。これもカメムシと同じように敵に襲われた時に警戒フェロモンを分泌するが、アブラムシの分泌液はベタつくワックス成分を含んでいて口や触角の動きを鈍らせる。

ウイキョウの鞘
ウイキョウの鞘 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/06/26
最近は、中国からの観光客が大量に買っていく太田胃散の成分にウイキョウがある。パンシロンや大正胃腸薬、安中散や平胃散、のど飴のような痰切り飴にも入っており、香り付けにも用いられるので、ウイキョウの名は広く知られている。

ウイキョウの鞘
ウイキョウの鞘 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/06/26
ウイキョウの葉鞘の中には、やがて茎や葉、花となるものが畳み込まれて詰まっている。

ウイキョウのアカスジカメムシ
ウイキョウのアカスジカメムシ (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/06/29

ウイキョウの蕾
ウイキョウの蕾 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/06/29
雨の雫がウイキョウの蕾の先端で留められている。丸い花柱が覗いているが、花弁は硬く丸まっており、中までは染み込まないだろう。

ウイキョウの花
ウイキョウの花 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/07/01
ウイキョウの花は、花弁の先端が内側に巻き込まれており、5本の雄蕊が次々と伸びていくようである。中央が雌蕊の花柱で2つ合わさって丸く見える。

ウイキョウの花
ウイキョウの花 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/07/01
ウイキョウの花の上に、相変わらずアカスジカメムシがいる。この公園にはウイキョウはここにしかなく、アカスジカメムシもここでしか見かけない。

ウイキョウの花
ウイキョウの花 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/07/03
ウイキョウの花弁が内側に丸まっているのは、原産地の環境が乾燥しやすく直射日光が強いため、まずは生殖器官を保護するためだろう。写真のように雨粒も入らない。セリ科は一般に雌性先熟で、雌蕊が先熟して受粉し、その後に雄蕊を小出しにして花粉を散布する。自家受粉を避けるためにも合理的である。

ウイキョウの花のアカスジカメムシ
ウイキョウの花のアカスジカメムシ (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/07/03
ウイキョウの花の上にアカスジカメムシがいるのは、もちろんその汁を吸うためだろう。その汁がそのままカメムシの攻撃フェロモンとなり、カメムシ自身を守るのみではなく、ウイキョウの花や蕾を食べる小鳥などからの防御ともなっているのかもしれない。

ウイキョウのキオビツチバチ
ウイキョウのキオビツチバチ (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/07/09
ウイキョウの花が咲くと、様々な昆虫が寄ってくる。黒い身体に黄色い紋があるキオビツチバチは、花弁がほとんど閉じていて雌蕊しか突出していないうちにやってくる。これは、メスだろう。オスよりも大きく、黄色い紋が左右に分かれており、触角も短い。

ウイキョウのキオビツチバチ
ウイキョウのキオビツチバチ (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/07/09
キオビツチバチは捕食寄生性で、幼虫はコガネムシ類の幼虫を餌として成長し、メスはコガネムシの幼虫に麻酔をかけて産卵する。

ウイキョウのシラホシハナムグリ
ウイキョウのシラホシハナムグリ (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/07/16
腹部の先が尖っているのは、シラホシハナムグリでもシロテンハナムグリでも共通である。

ウイキョウのシラホシハナムグリ
ウイキョウのシラホシハナムグリ (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/07/16
シラホシハナムグリもシロテンハナムグリも同じ食性なので、混じっている場合もある。ただ、都市部の公園、特に森林部が少ないとシラホシハナムグリの方がやや多いのかも知れない。

ウイキョウの果実
ウイキョウの果実 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/08/17
ウイキョウの果実は1cmに満たない。乾燥したものはフェンネルシードと呼ばれ、料理のスパイスやハーブティーとして香り付けなどに用いられる香辛料である。

ウイキョウの花後
ウイキョウの花後 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/08/17
花が咲いている段階で、下の子房部分が膨らんできて、ほとんどそのままの形で果実(分果)になる。もっとも、受粉していないものは膨らまずに水分を失っていき、やがて茶色く萎んでしまう。

ウイキョウの果実
ウイキョウの果実 (川崎市幸区さいわいふるさと公園) 2026/08/17
ところどころに膨らんだ子房や果実がある。ここでは受粉しないことも多いのかもしれない。ウイキョウの分果は風に揺られてそのまま周囲に落ちるか、完全に熟していれば2つに割れた状態で種子ごと地面に落ちる。


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