Yellow Roof 's Museum
黄色い屋根の博物館
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ローマ字入力とは何か


川崎市民家園 (川崎市多摩区川崎市民家園) 2015/03/28
戦後にGHQが持ち込んだ漢字廃止論は日本人の識字率の高さで一蹴されたが、英語は第二外国語として今も力を入れている。世界的にもその傾向はあり、特に多言語を抱える国では英語を共通言語として利用していたりもする。一方では、外国映画を吹替版で上映することも世界的に増加傾向にあり、ネットでも海外サイトはブラウザで自国語に翻訳できたり、海外旅行もスマホさえあれば通訳は要らない。


川崎市民家園 (川崎市多摩区川崎市民家園) 2015/03/28
日本語表記に使われる漢字は中国伝来の表意文字で、仮名は平安時代に成立した日本独自の表音文字である。明治以後はこれに英数値などが加わり、日本語は世界でも類を見ない複雑な表記法になった。裏を返せば、日本語は初めから外国語を取り込む柔軟性を備えた言語ということになる。もっとも、カタカナ表記が増えても外国語が出来るようになるわけではなく、日本語として使い分けするだけである。


ミツマタの花 (川崎市多摩区川崎市民家園) 2015/03/28
ローマ字入力では、コンピューターと入力するためには"computer"ではなく"konpyu-ta-"のように外国語を一旦カタカナ語化する必要がある。結果的に、原語の表記法や発音、時には意味まで違う日本語になる。しばらく前までは外国語を本来の日本語で工夫して翻訳したりしていたが、近頃は映画のタイトルももっぱらカタカナ語で表記する。外国語を音としても文字としても日本語として捉えて表記することができるというのは日本人特有の能力だろう。


ミツマタの花 (川崎市多摩区川崎市民家園) 2015/03/28
日本語ワープロ専用機やパソコンが急速に職場に導入されていった1980年代には、一般家庭への普及率はまだまだ低かった。文字キーを打鍵するということはまったく新しい体験であり、多くの会社でタイピストを高給で雇ったりしていた。


川崎市民家園 (川崎市多摩区川崎市民家園) 2015/03/28
日本語変換辞書も今のように発達してはいない。予測候補が出ることもなく、変換キーを何度も押して目的の漢字を探したものだ。単漢字変換や手書き入力やコード入力、単語登録も使いこなせないと仕事にならなかった。インターネット上に辞書が登場したのは2000年になってからで、それまでは国語辞典や広辞苑などのソフトも活用していた。


川崎市民家園 (川崎市多摩区川崎市民家園) 2015/03/28
当時の日本語キーボードは開発途上で、JIS配列のみならずメーカー独自の五十音順配列や親指シフト配列、ペン入力などもあった。キーボードも押圧が高くピッチも広めで、打鍵音が大きく職場に響き渡る音で初心者かどうか区別がついた。多くの人々は手書きから手入力への切り替えを余儀なく求められた。日本語キーボードは日本語と英語を切り替えて使うように設計されており、英文入力用にQWERTY配列を残しつつ、かなを入力しやすいように配置したものである。


川崎市民家園 (川崎市多摩区川崎市民家園) 2015/03/28
日本語キーボードは日本人のために設計されたもので、かなもアルファベットもキーボードに印字され、そのまま打つだけの仕様になっている。この時期に自分でワープロやパソコンを購入した者にとっては、英文タイプと同じようにかなを打てることは夢のようなもので、多くの者は初めからかな入力を覚えた。しかし、大半の初心者は、ローマ字入力が有利という噂に引きずられ、ローマ字入力人口は1990年代後半から急増した。


川崎市民家園 (川崎市多摩区川崎市民家園) 2015/03/28
元々ローマ字は、走り書きのメモにすら使われない外国人向きの日本語表記である。仮名や漢字をローマ字に置き換えてアルファベットで書く工程は浪費でしかない。しかし、当時はローマ字入力のほうが職場ではアピールになった。打鍵数が多く、音と動きがある。その方が仕事しているように見えることは今も昔も変わらず、自分も仕事した気にはなる。今でもよく挙げられるローマ字入力のメリットの大半は、この頃の無知と誤認が広まって定着したものである。


川崎市民家園 (川崎市多摩区川崎市民家園) 2015/03/28
かなキーよりアルファベットキーの方が少ないから覚えやすいとか、ローマ字入力を憶えれば英文も入力できて一石二鳥とか、かな入力よりローマ字入力の方が速く打てるとか、いずれも事実ではない。かなキーなら幼稚園児でも打てるが、ローマ字は日常使わないため、ローマ字入力は日本語入力方式で最も難易度が高く習熟に時間を要する。ローマ字はキーボードに印字不可能で、QWERTY配列もローマ字入力に特化していない。少なくとも1.7倍速く打鍵しないと、かな入力に追いつかない。この事実が逆に、ローマ字入力が速いという錯覚を産む。しかし、それはモールス信号を聞いて速さに感心するようなものである。


川崎市民家園 (川崎市多摩区川崎市民家園) 2015/03/28
ローマ字入力では音節1つが運指だが、かな入力では単語そのものが運指となる。これは英語入力でも同じで、話したり読み書きする言葉と同じ単位で自然に獲得できる。子供は早ければ2歳頃からひらがなブロックで言葉遊びをするようになり、かなキーボードも打てるようになる。かな入力の最大の長所は、ローマ字変換の工程が不必要である以上に、会話や筆記と変わらない入力ができることである。いい例がスマホのトグル入力やフリック入力で、教えられもせずに使ううちに、多くの人は会話するように言葉を打つことができるようになる。


川崎市民家園 (川崎市多摩区川崎市民家園) 2015/03/28
ローマ字入力が多数派となってから、新JIS配列が廃止され、富士通も親指シフトキーボードの販売を終了し、それどころかアルファベット表示のみのキーボードがスタイリッシュとされ、英文タイプライターの時代にまで逆行し始めた。ただし、コンパクトで使いやすい方向にはキーボードの開発は続いている。


川崎市民家園 (川崎市多摩区川崎市民家園) 2015/03/28
ローマ字入力はもちろん、JISかな入力もユーティリティを介しての親指シフト入力も以前よりはずっと使いやすくなり、キーボードも選び放題になった。自分は家では親指シフト入力している。ローマ字という足枷から解放されれば、文書入力は段違いに快適になる。親指シフトキーボードを開発した富士通の当時の宣伝文句は、「指でしゃべるように日本語をかな入力する」である。


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